「数年後 君はフルマラソンを走ることになる」
過去の私にそう言ったらたぶんこう答えます。
「神に誓ってそんな自虐行為をすることはない。」
それくらい私は走ることが好きではありませんでした。
学生時代から持久走が得意だったわけでもない。
ランニングを趣味にしている人を見ても、「自分もやってみたい」と思ったことはありませんでした。
そんな私がなぜ走り始めたのか。
きっかけはとても単純です。
太ったからです。
気づいていたけど言われる「太ったね」の重み
30代後半。
20代の頃と比べて、体重は約10kg増。
腹が出た。
身体が重い。
そして身内から
「太ったね」
と言われる。
自分でも分かっていたことを人から言われるとなかなか効きます。
さすがに痩せようと思いました。
ただし
運動はしたくない。
そこで最初に選んだのが食習慣を変えることでした。
食習慣はやっぱり大事
アプリを使ってレコーディングダイエットを実行。
摂取カロリーだけでなく、PFCバランスも管理するようにしました。
PFCバランスとは?
P=Protein(たんぱく質)、F=Fat(脂質)、C=Carbohydrate(炭水化物)のこと。食事に含まれる3つの栄養素のバランスを表す言葉です。
それまで何となく食べていたものが数字で見えるようになり、体重は約5kg減少。
「このままいけるんじゃないか?」
そう思っていました。
ところがそこから体重が落ちなくなります。
食事は気をつけている。
最初は順調だった。
しかし減らない。
「うまくいくと思ってたのに、何すればいいんだ?」
そこでようやく避けていた運動に目を向けました。
2kmが限界だった
運動するといってもジムに通うつもりはありませんでした。
出費が少なく外に出ればすぐ始められる。
……走るか。
そんな理由でした。
2018年7月。
私は走り始めました。
最初に走れた距離は
2km
それが限界でした。
記録を見るのが楽しくなった
最初の2〜3か月はランニングアプリを使っていました。
距離、時間、ペース。
走った結果が数字として残り
「前より走れている」
ことが分かるようになりました。
最初は痩せるためだったのに、記録を見ることが少しずつ楽しくなってきます。
そんなときに知ったのがランニングウォッチでした。
私が選んだのはGarminでした。
最低限の記録が残せればいい。
そのくらいの感覚でたいして悩まず選びました。
でも、ここから私のランニングが大きく変わりました。
Garminを着けたら「もっと」が始まった
記録が残る。
実力がわかる。
自己ベストを更新したくなる。
「前より走れるようになってやる。」
こうして私はラン沼にはまっていったのです。
週2程度だったランニングは、いつしか週5ペースに。
はじめは10kmを走るのがやっとでしたが、ピーク時のPBは44分台まで更新できました。
ハーフマラソンのPBは1時間39分台。
距離が伸びる。
自己ベストが出る。
「もっといけるんじゃないか?」
体力が続く限り走りたい。
痩せるために始めたランニングは
ライフワークに変わりました。
遅れてきた青春
30代後半の自分でもどんどん記録が伸ばせる。
超えられなかった壁が、面白いほど簡単に超えられる。
私にとってそれは
無くした自分を取り戻す作業のようなものでした。
最初は痩せたかっただけ。
運動なんてしたくなかった。
2km走るのが限界だった。
それなのに気がつけば痩せること以上に
もっと速く。遠くまで走りたい。
そう思うようになっていました。
そして、その「もっと」の先で目を向けたのが
フルマラソン。
2018年7月、2kmから始まった私のランニングは、いつしか42.195kmを目指すところまで来ていました。
走れるようになることが楽しくて仕方がなかった。
でもこの「もっと」という気持ちは、少しずつ私の走り方も変えていきます。
もっと速く。もっと遠くへ。
そして私は初めてのフルマラソンを走ることになります。
――第2話へ続く。



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